親が退院することになったら|家に帰る前にやること
おやのて編集部/2026年10月8日
「来週退院です」と言われて、頭が真っ白になる方は少なくありません。退院の準備は、入院中から始めるのがいちばんの近道です。この記事では、家に帰るまでにやることを順番にまとめました。
- 退院の話が出たら、その日のうちに病院の医療相談室(地域医療連携室)に声をかける
- 介護が必要になりそうなら、入院中に介護保険の申請をする
- 家に帰る前に、病院・ケアマネジャー・家族で打ち合わせ(退院前カンファレンス)をしてもらう
1. 病院の「医療相談室」に相談する
多くの病院には、医療ソーシャルワーカー(MSW)や退院調整の看護師がいる窓口があります。名前は「医療相談室」「地域医療連携室」「患者支援センター」など病院によって違います。わからなければ、病棟の看護師に「退院後のことを相談したい」と伝えれば案内してもらえます。
相談するときは、次のことを伝えるとスムーズです。
- 入院前の暮らし(ひとり暮らしか、家族と同居か、日中だれかいるか)
- 家族が手伝える時間と、仕事の状況
- 家の様子(階段、段差、トイレやお風呂の場所)
- 本人と家族が、退院後どう暮らしたいと思っているか
まだ迷っていても大丈夫です。迷っていることを、そのまま話してください。
2. 介護保険の申請をする(入院中でもできます)
退院後に手助けが必要になりそうなら、入院中のうちに要介護認定の申請をしましょう。結果は原則として申請から30日以内に通知されますが、遅れることもあるので、早めの申請が大切です。
- 申請先は、本人が住んでいる市区町村の介護保険の窓口です。
- 家族のほか、地域包括支援センターやケアマネジャーが代わりに申請することもできます。病院の相談室で手伝ってもらえることもあります。
- 入院中は、病院で認定調査を受けられる場合があります。
- 結果が出る前でも、申請した日から暫定的にサービスを使えることがあります(結果によっては自己負担が増えることがあるので、ケアマネジャーと相談しながら使いましょう)。
3. ケアマネジャー(または地域包括支援センター)を決める
家での暮らしの計画(ケアプラン)をつくるのがケアマネジャーです。要介護1〜5の人は居宅介護支援事業所のケアマネジャー、要支援1・2の人は地域包括支援センターや、介護予防支援の指定を受けた居宅介護支援事業所が担当します。ケアプラン作りの自己負担はありません。
どこに頼めばいいかわからないときは、病院の相談室か、本人の住む地域の地域包括支援センターに紹介してもらえます。自分で探す場合は、ケアマネ事業所の検索も使えます。入院前からケアマネジャーがいる場合は、入院したことをすぐに伝えておきましょう。
4. 退院前に「打ち合わせ」をしてもらう
退院が近づいたら、病院のスタッフ(医師・看護師・リハビリ職・相談員)、ケアマネジャー、家族が集まって、家での生活の準備を話し合います。これを「退院前カンファレンス」と呼びます。
この場で確認しておきたいこと:
- 今の体の状態と、家で気をつけること(転びやすさ、食事の形、飲み込み)
- 薬の飲み方と、だれが管理するか
- 医療的なケア(点滴、たんの吸引、床ずれの手当てなど)が必要か
- 通院するのか、医師に家に来てもらう(訪問診療)のか
- 具合が悪くなったときの連絡先
わからない言葉が出てきたら、その場で遠慮なく聞いてください。家族が不安なまま帰ることがいちばんの心配です。
5. 家の準備をする
| 準備すること | 使える制度・サービス |
|---|---|
| 介護ベッド・車いす | 福祉用具のレンタル(介護保険)。介護ベッドや車いすは原則として要介護2以上が対象です(状態によっては要支援・要介護1でも認められることがあります) |
| 手すり・段差の解消 | 住宅改修(介護保険)。対象工事費は1人20万円まで(給付は7〜9割)。工事の前に申請が必要です |
| 体調の確認・医療的なケア | 訪問看護。主治医の指示書が必要です |
| 通院が難しい | 訪問診療(医師が定期的に家に来る)。病院の相談室で地域の在宅医を紹介してもらえます |
| 入浴・食事・トイレの手助け | 訪問介護(ホームヘルパー)、デイサービス、訪問入浴 |
| 家族の休息 | ショートステイ(短期間のお泊まり) |
介護ベッドは、退院の日に間に合うよう退院の数日前までに搬入しておくと安心です。手配はケアマネジャーが福祉用具の事業所と調整してくれます。
家に帰るのが難しいとき
「すぐに家で暮らすのは難しい」と感じたら、無理をしないでください。その気持ちを相談室に伝えれば、次のような選択肢を一緒に考えてもらえます。
- 回復期リハビリテーション病棟・地域包括ケア病棟:病院でリハビリを続けてから家に帰る
- 介護老人保健施設(老健):リハビリをしながら在宅復帰をめざす施設
- ショートステイ:退院直後の一時的な受け皿として使う
- 特別養護老人ホーム・介護付き有料老人ホームなど:長く暮らす場所を探す(施設の比較)
お金のこと
- 入院の医療費は「高額療養費制度」で、1か月の自己負担に上限があります。限度額適用認定証(マイナ保険証なら不要な場合が多い)を使うと、窓口での支払いも上限までになります。
- 介護サービスの自己負担は原則1割(所得により2〜3割)。対象となる介護サービス費の自己負担が所得区分ごとの上限を超えた場合、申請により「高額介護サービス費」の支給を受けられます。食費・居住費・日常生活費などは対象外です。
- 医療費と介護費を1年分合わせて上限を超えた場合は「高額医療・高額介護合算療養費制度」もあります。
くわしくは負担を軽くする制度をご覧ください。
退院までのチェックリスト
チェックはこの端末に保存されます。
退院の流れは、まんがでわかる介護 第4話「お父さんが入院から家に帰るとき」でも紹介しています。
この記事は一般的な流れの解説です。病院や地域によって窓口の名前や手続きが異なることがあります。具体的なことは、病院の相談室・ケアマネジャー・地域包括支援センターにご相談ください。